BSA(ビーエスエー)の歴史と特徴

BSAとはバーミンガム・スモール・アームズの略で、1861年に銃や弾薬の製造からスタートし、1881年からは自転車の生産を手がけました。
ダイムラーの自動車生産を買収し、第一次世界大戦ではイギリス軍の装備に大いに貢献します。
ところがその後、日本メーカーの急速な台頭により1972年に倒産してしまいました。

しかしBSAの名前は忘れられず、その最盛期に愛好者から愛された500ccシングル「ゴールドスター」の再生が試みられます。
その試みが実を結んだのは2016年、インドの大企業マヒンドラグループが新たに設立したClassic Legends Ltd.がBSAブランドを取得し、新生ゴールドスターの開発プロジェクトが始まったのです。
このプロジェクトのリーダーはRoyal Enfieldの元幹部、Ashish Joshi氏で、エンジンの開発はオーストリアのロータックスが手がけました。

彼らはBMWのF650やKTMのDUKEといったバイクと同じ基礎部分を設計し、ビンテージ風の直立単気筒エンジンに進化させたのです。
このエンジンはイギリス製のダブルクレードルフレームに搭載され、そのデザインもイギリスで行われました。

BSAがビッグシングルの設計を選んだ理由は、その源流である500ccゴールドスターへの敬意と、ビジネスの成功は後から追求できるという考えからです。
新しいゴールドスターはインドで生産が始まり、イギリスでのデリバリーは遅れて開始されました。
BSAは、将来的にはイギリスでの工場建設を計画し、イギリス製のBSAブランドを再興することを目指しています。

新生BSAを代表する新生ゴールドスター

新生ゴールドスターの外観は、ビンテージ好きにはたまらない一方、走りは現代のバイクと変わらないクオリティーの高さを持っています。
その秘密は、ダブルクレードルフレームに沿って取り付けられた縦長のラジエーターと深く彫られた冷却フィンです。
また、今のモデルには見られない小さな12リットルのピンストライプが描かれたティアドロップ形状の燃料タンクなど、現代の技術とビンテージ風のデザインとが融合されています。

前輪18インチ、後輪17インチの設定で、従来のクラシカルなバイクが持つ前輪の遅れた追従感ではなく、最新モデルと変わらないレスポンスを持っています。
クラッチの軽さは渋滞時でもストレスを感じさせず、車重は198kgと重いながらも街中での機敏な動きは非常にスムーズです。
ワインディングでは、ゴールドスターの伝統である直立シングルエンジンによる低重心が活かされ、バンピーな高速コーナーもサスペンションの動きでうまく吸収します。
新生ゴールドスターは、その見た目の美しさとともに走りの良さも継承しているのです。

BSA(ビーエスエー)