ビューエルとは?その歴史と変遷

エリック・ビューエル氏がかつてハーレーのエンジニアとして活躍し、1983年に自身の名を冠したバイクメーカーがビューエルです。
はじめはAMA Formula 1レースに専念していたビューエルですが、その後、市販車へも手を広げました。
1998年にはハーレーによって買収され、一時期ハーレーの一部として活動していました。

ビューエルのバイクはそのユニークな車体構造が特徴的で、その典型例と言えるのが「XBR9 Firebolt」です。
このバイクではフレームがガソリンタンクの役割も果たしており、その結果、短いホイールベースと重心の集中化が可能となり、機敏なハンドリングを可能にしています。

しかしながら、ビューエルは2009年にハーレーから独立し、以降、倒産と再生を繰り返します。
そのたびに新たなモデルが発売されるものの、ビューエルのオリジナリティが薄れ、2017年には一時的に活動を停止しました。
しかし最近ではビューエルの復活の兆しが見え始めており、2023年モデルのスーパースポーツバイク「ハンマーヘッド 1190」の予約を開始しています。

ビューエルの特徴

ビューエルのバイクは、他社製のモデルとは異なる特徴を有しています。
フレームとエンジンをラバーマウントで接続し、振動を最小限に抑える工夫がその一つの特徴です。
また、マフラーやサスペンションエンジンといった重いパーツを車体の中心部に配置することで重心を低く保っています。
エンジンには独自のチューニングが施され、大径のシングルローターブレーキがフロントに採用されているのも特筆すべきポイントです。

XBシリーズでは、250ccクラスと同等の短いホイールベースとリムマウントのフロントブレーキローターが特徴となっています。
フレームはイタリアのベルリッキ社製、ブレンボ社製のスイングアームにはオイルタンクが内蔵され、さらなる剛性と重心の集中化が図られました。
これらにより高いコーナリング性能が追求されています。

ビューエルを代表するモデル

XB12Rは、ビューエルのラインアップ中で最もスポーツ志向のあるモデルです。
ほかのモデルと比較してステップの位置が高く、ハンドルも低く設定されているクリップオンタイプが採用されています。
その結果、ライダーは前傾姿勢でバイクに乗ることになりますが、小さめのウインドスクリーンにもかかわらずライダーの胸部を風圧から守る役割を果たしています。
街中の走行からロングツーリングまでさまざまなシーンで快適に走行するための設計です。

XB12Rの独特のデザインや機能はエリック・ビューエル氏の経験と創造性が詰まっており、ほかのバイクメーカーとは異なる存在感を放っています。
ハーレーダビッドソンから独立したビューエルは、アメリカンバイクの新たな可能性を示していると言えるでしょう。

ビューエル