イタリア最古参のモーターサイクル「モトグッツィ」
イタリアはモーターサイクルのメッカですが、その中にありモトグッツィは世界最古参のブランドとして世界で親しまれ、イタリア国民の自慢です。
このブランドの始まりはモーターサイクル好きだったカルロ・グッツイによるもので、第1次世界大戦が始まり、イタリア陸軍に召集されたときです。
創設されたばかりというイタリア空軍配属となり、このとき、ある青年たちとの運命的な出会いがありました。
すでにオートバイレーサーとして名をうっていたジョバンニ・ラベッリ、更にイタリア、ジェノバの資産家の御曹司、ジョルジオ・バローディでした。
カルロ・グッツィは戦争以前からオートバイ製造修理工場の鍛冶屋に出入りしており、すでにこの当時から自分の中で革新的なバイクを作るためのアイデアをひそかに練っていました。
この運命的な出会いをした3人は、戦争が終わったら3人でモーターサイクルのメーカーを作ろうと約束しあっていたのです。
そして戦争が終わるとジェノバ港の船舶オーナーであるジョルジオの父、エマニュエレ・ヴィットリオ・バローディを説得、プロトタイプのモーターサイクル開発の資金を得ます。
いつか叶えようと思っていたこのモーターサイクルの夢、戦争のとき、3人で語り合ったこの夢はカルロ・ジョルジオの2人で叶えることになります。
戦争終結の数日後、戦闘機のテストフライト中、ジョバンニは亡くなってしまったのです。
しかしだからこそ、この2人の夢はかなえなければならないという強い気持を持ったのかも知れません。
プロトタイプが成功し、イタリア空軍の紋章となる翼を広げた鷹のエンブレムがついたモーターサイクルが誕生しました。
レースへの参戦も扱ったモトグッツィ
まじめで実直なカルロ、情熱一杯のジョルジオ、このまったく性格の異なる二人がけん引したモトグッツィは、ジョルジオの積極性もあって設立当初からレースに登場しています。
当時、イタリアにはサーキットがないという状態だったので、長距離公道を走るレースが主軸ですが、モトグッツィは1921年、ミラノ・ナポリレースでデビューを飾り、そのたった1ヵ月後、最も過酷で最も悪路のレースとして知られるタルガ・フローリオで優勝という栄冠を手に入れました。
これによってモトグッツィはレース業界でも注目されていくのです。
様々なレースに参戦し、栄光を手にしてきたモトグッツィですが、経営不振にあえぎ、けっきょく1957年、レースから完全撤退、その上創業からずっと資金提供を続けてきたバローディ家の破産など、とうとう66年には管財人の手に渡ることになります。
1973年にはデ・トマソグループの資本になり、2000年にアプリリアによる資本注入を受け、現在にいたります。
世界屈指のマシンや知名度の高いマシンも多いモトグッツィは、現在もイタリア屈指の名バイクメーカーです。