半クラッチの過剰使用は負担を与える
バイクのクラッチは、たびたび使用してもエンジンに悪影響を及ぼすほど繊細なパーツではありません。
ただ、動力が伝わるタイミングでクラッチを滑らせ続けると摩擦熱により表面が滑りやすくなり、クラッチの交換が必要になることがあるのです。
エンジンは一定の回転数に達しないとトルクが生成されないため、低回転で円滑に発進するためには半クラッチを用いて、静止しているタイヤと回転しているエンジンの回転差を埋める必要があります。
しかしながら、半クラッチを度を超して用いるとクラッチが滑ることで摩擦熱が発生し、摩耗が進んで寿命が縮まることになるのです。
実際、乗り方によっては消耗の度合いに大きな違いが生じ、早い時期に走行できなくなることもあります。
慣れていないと、エンジンの回転を高めながらクラッチレバーをゆっくり放す操作が一般的です。
しかし、この長い半クラッチはトルクが十分なエンジン特性を活かし切れていません。
半クラッチが短いとエンストしやすいと考えるなら、スロットル開度が不十分なだけなのです。
上手な半クラッチの使い方を身につけよう
発進時は、スロットルを開く前にクラッチレバーを半クラッチの位置まで放し、その後スロットルを開けつつクラッチレバーをさらに放すという手順を実践しましょう。
適切なスロットル開度で、急激な発進は回避できます。
短い半クラッチで発進できる理由は、スロットル開度が適切だからです。
左折時の発進など、半クラッチが困難な状況であっても後輪のトラクションが速やかに得られるため、習得しておくと便利です。
油圧操作ではクラッチレバーの遊びは一定ですが、ワイヤー操作の場合はアジャスターによって遊びが変わることがあります。
放置しておくとスロットルを大きく開けた際にクラッチが滑るクセがつくことがあるので、指を触れないように注意しましょう。
ギアチェンジの際には、スロットル操作とクラッチレバー操作を小さな動きで迅速に行い、半クラッチの範囲内で短いレバーストロークで済ませるのがコツです。
丁寧に時間をかけてクラッチを深く切るシフトチェンジや滑らかにつなぐために徐々に放す操作は、クラッチが切れている間の回転差が大きく、つないだり切ったりするたびに半クラッチが強いられる状況になってしまいます。
まとめると、バイクのクラッチは耐久性があるものの、過剰な半クラッチの使用や不適切な操作が続くと摩耗が進み寿命が短くなることがあるということです。
発進時には適切なスロットル開度と半クラッチ操作を心がけ、ギアチェンジ時には素早く短いレバーストロークで操作することでクラッチの寿命を延ばすことができます。
また、適切なクラッチ操作を身につけることでよりスムーズな発進や後輪のトラクションを得られるようになり、バイクの運転がさらに楽しくなるでしょう。