ターボチャージャーとスーパーチャージャーとは何?
2014年にカワサキが発表したNinja H2とNinja H2Rは、スーパーチャージャーを搭載したエンジンを初めて世界に向けて市販したモデルです。
驚くべきことに、クローズドコース専用のNinja H2Rは最大310馬力の出力を持ちます。
これは、同じ1,000ccのDOHC4気筒エンジンを使用しているスーパースポーツモデル、つまりSBKレースの基本車両が大体200馬力なのに対し1.5倍以上の力を引き出しています。
これがスーパーチャージャーの凄さです。
では、スーパーチャージャーとは何なのでしょうか?
現在、カワサキのNinja H2/Z H2シリーズを除いた市販のバイクはすべて自然吸気エンジンを搭載しています。
これは、ガソリンと空気が混ざった混合ガスをピストンがシリンダー内を下る際の負圧を利用して吸い込む仕組みです。
ピストンが吸い込んだ混合ガスを圧縮し、点火・爆発させることでエンジンが動きます。
また、ピストンが最下部にあるときのシリンダー内の混合ガスの量が排気量となります。
では、排気量を増やさずにエンジンの出力を向上させるにはどうすればいいのでしょうか?
それは大気圧の下で自然に空気を吸い込むのではなく、ポンプのような装置でエンジンに強制的に空気を送り込むことです。
これにより排気量を増やすのと同じ効果を得ることができ、出力が向上します。
この「ポンプのような装置」こそが「過給機」であり、スーパーチャージャーやターボチャージャーはその一部なのです。
目指す目的は基本的に同じですが、空気を送り込むポンプの駆動方法が違います。
ターボチャージャーとスーパーチャージャーの違い
ターボチャージャーでは過給機と同軸上にタービンを設置し、排気ガスの圧力でタービンを回転させ、それにより過給機を駆動します。
普通に排出されてしまう排気ガスを再利用するため、エネルギーの損失が少ないという利点があります。
ただしスロットルを開けてからエンジンの回転数が上がり、排気ガスの量が増えてタービンの回転が上がるまでの過程で、いわゆるターボラグが発生するという欠点も存在します。
しかし、近年の自動車のターボチャージャーは可変バルブなどの進化により、その影響はほとんど感じられなくなっています。
一方、スーパーチャージャーの場合、過給機はエンジンの回転を介して駆動します。
これはエンジンが直接駆動しているため、スロットルの開始時に遅延がなくバイクの特性に適合します。
しかし、エンジンが生成するパワーの一部を利用しているため、燃費などを考慮すると全体的な効率はターボチャージャーが優れていると言えます。